
鉦や太鼓を打ち鳴らす日本一やかましい桑名の石取祭
公開: 2026年7月27日
三重県桑名市で毎年8月第一日曜日とその前日の土曜日に行われる「石取祭(いしどりまつり)」に行ってきました。「日本一やかましい祭り」という異名があるお祭りです。
石取祭とは。江戸時代から続く春日神社の伝統行事
石取祭は江戸時代初期に始まったとされる、桑名の春日神社の祭礼です。員弁川下流の町屋川から石を取り、祭地を浄めるために神社へ奉納したことが起源とされています。
桑名の各町(組)はそれぞれ「祭車(さいしゃ)」と呼ばれる山車のような車を持っており、その総数は43台。今年は40台が祭りに参加していました。祭りの中心となる春日神社周辺を歩くと、あちこちで祭車を見ることができます。彫刻や染織品の意匠は町ごとに個性があり、見比べて歩くだけでも楽しめます。

金曜日の夕方〜夜:試楽前日、静かに進む準備と儀式
石取祭は「試楽」の前日にあたる金曜日の夕方から、すでに準備が始まります。日が暮れる頃、春日神社周辺を歩いていると、各町の人たちが祭車の飾り付けをしている様子に出会いました。

18時ごろ、春日神社では儀式が執り行われます。ここで授かった火を各町が持ち帰り、祭車の万灯と十二張の提灯に灯していきます。
叩き出しが始まるまでの間には、少年会や青年会が祭りの安全を願って歌いながら春日神社へ参拝する姿も。肩を組んで歌い、掛け声を上げる様子から、町ぐるみでこの祭りを支えている一体感が伝わってきました。

深夜0時、「叩き出し」の瞬間
石取祭は、日付が変わった瞬間に幕を開けます。叩き出し直前になると、すでに多くの人が春日神社周辺に集まり、独特の熱気に包まれていました。
日付が変わると、春日神社の神楽太鼓を合図に、各町の鉦と太鼓が一斉に鳴り響きます。町の人たちが代わる代わる太鼓や鉦を打ち鳴らす音は、空気の振動として体で感じるほどの迫力でした。

このとき、「日本一やかましい祭り」と呼ばれる理由がよくわかった気がします。音量が大きいだけでなく、決まったリズムなく思うがままに打ち鳴らしていることが「やかましさ」の正体なのだと思いました。

動画にも収めましたが、録音では音の迫力がどうしても小さくなってしまいます。この空気の振動だけは、ぜひ現地で体感してほしいところです。
石取囃子とともに、夜の町を練り歩く
叩き出しの激しさが落ち着いたあとは、深夜まで町中を練り歩く時間になります。0時の瞬間とは打って変わって、「石取囃子」という独特なリズムのお囃子を奏でながら祭車を引いていきます。

このお囃子のリズムや演奏パターンは、何度聴いても覚えられそうで覚えられない不思議な魅力があり、気づけば聴き入ってしまいます。
深夜2時ごろまで続くと聞いていましたが、町によっては3時半ごろまで練り歩いていたそうです。私自身は2時半を過ぎたあたりで眠気が限界に達し、ホテルへ引き上げました。それでも布団に入ってから、しばらく鉦と太鼓の音が耳に残っていたのを覚えています。

試楽・本楽の2日間
土曜日の「試楽」では各町内を練り歩き、翌日曜日の「本楽」では40台の祭車が春日神社へ向けて整列し、渡祭と曳き別れが行われます。
試楽の日は夕方から練り歩きが始まり、子どもたちも力強く太鼓を叩く姿が印象的でした。演奏は夜11時ごろまで続き、各所では町同士の競演も見られます。

今回はスケジュールの都合で試楽の途中までしか見られませんでしたが、迫力のある叩き出しと試楽の演奏を体感できたのは大きな収穫でした。次回訪れる時ははもう少し予定に余裕を持たせて、本楽の最後まで石取囃子を楽しみたいと思っています。


