
三重県志摩市の和具地区では、毎年旧暦の6月1日に「潮かけ祭り(大島祭)」が開催されます。海の安全を守る女神への里帰りを祝う神事から、町内を練り歩く神輿、そして海女や漁師たちが豪快に水をかけ合う「潮かけ」まで、800年の歴史を持つこの祭りに実際に足を運んでみました。
潮かけ祭りは、海の安全を守る女神・市岐島姫命(いちきしまひめ)が、和具の八雲神社から和具沖にある大島の祠へ里帰りすることを祝う神事です。海女や漁師たちは、この日に海の安全と大漁を祈願します。なお、他の「大島」と区別するため、この島は「和具大島」と呼ばれています。

ご神体を乗せた船は「まんど船」と呼ばれ、地元の漁船もこれに同航して大島へ向かいます。大島では地元で獲れたアワビなどの魚介類を神前に供え、神事が執り行われます。

潮かけが始まる前後には、地元の青年団が中心となって神輿が漁船や町内各所を巡ります。まだ潮かけの時間ではないのに、港に近づくと早くも水を浴びせられる若者たちの姿があり、その様子からは祭り本番への盛り上がりが伝わってきました。

神輿の休憩中には、担ぎ手たちが海に落とし合って遊ぶ場面も見られました。当日は酷暑と言われるほどの暑さだったため、海に飛び込む姿はとても気持ちよさそうでした。

大島での神事が終わり、まんど船が和具漁港へ戻ってくると、いよいよ潮かけが始まります。船同士で水をかけ合うだけでなく、港に接近した船と陸にいる人々との間でも盛大な掛け合いが繰り広げられます。

近くにいれば観光客であろうとカメラを構えていようと、容赦なく水をかけられます。

「潮を受けると風邪をひかない」という言い伝えもあるそうで、この時間だけは無礼講、誰が誰に何をしても許される雰囲気のなか、参加者も見物客も一体となって楽しんでいました。

ちなみに、バケツの水だけでなくホースから出る水も海から汲み上げたものなので、口に入るとしょっぱいのもこの祭りらしい特徴です。
潮かけ祭りを見学する場合は、ほぼ確実に濡れることを覚悟しておくのがおすすめです。
カメラなどの機材は、ビニール袋などで防水しておく、着替えやタオルを用意しておくなどの防水対策をすると安心です。
潮かけ祭り(大島祭)は、800年にわたって地域の海女や漁師たちの安全と豊漁を願って続けられてきた、和具ならではの伝統行事です。神事の厳かな雰囲気と、潮かけの賑やかで自由な雰囲気の両方を味わえるのが大きな魅力です。三重県志摩市を訪れる機会があれば、旧暦6月1日前後の日程をチェックしてみてはいかがでしょうか。
